第1回

フォトダイオードの特性と原理

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フォトダイオードとは?

フォトダイオードは、⼀般に光起電⼒効果を利⽤した受発光素⼦です。
特徴として以下が挙げられます。
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  1. 1プレーナ構造であるため、ダイオード特性(カーブファクター)が良く、負荷をかけた時の動特性に優れている。
  2. 2低照度から⾼照度まで光電流の直線性が良好である。
  3. 3素⼦間の光出⼒のバラツキが同⼀組⽴状態で少ない。
  4. 4応答速度が速い。
  5. 5分光感度波⻑が広い。

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フォトダイオードの動作原理

図1にPN接合のエネルギーバンドを⽰します。フェルミ準位は熱平衡状態で、P層とN層で⼀致しており、内部では電位障壁が⽣じます。ここにEgよりも⼤きなエネルギーを持つ光(E=hv)が照射されると、電⼦は伝導体に引き上げられ、電⼦と後に残る正孔が対となって形成されます。この電⼦正孔対はいたる所で形成され、特に空乏層中で形成された場合は、直ちにその電界によって加速され、電⼦はN層へ、正孔はP層へ移動します。また、P層N層で発⽣した場合、P層の電⼦、N層の正孔は拡散し空乏層にたどりついたものは、更に電界によって加速され、各々、N層、P層へ⼊り電荷が蓄積されます。(光起電⼒効果)
図1.フォトダイオードの断面図とエネルギーバンド
熱平衡状態より過剰の電⼦数正孔数となり、P層、N層が開放状態(OPEN)となっていれば、P層、N層のフェルミ準位の差が、開放電圧という形で測定できます。(図2(a))また短絡状態(SHORT)となっていれば、外部回路に流出、短絡電流という形で測定できます。(図2(b))外部負荷を端⼦間に接続すれば、光のエネルギーを電気エネルギーとして得ることができます。
図2.開放電圧と短絡電流

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フォトダイオードの代表特性

1. V-I特性

図3.V-I特性
図4.短絡電流/照度特性
フォトダイオードのV-I特性は暗中では、通常の整流ダイオードと同じです。(図3)しかし、フォトダイオードに光が照射されると、光の強さに従ってV-I特性が下に移動します。この時、端⼦間を開放しておくと、Vocの電圧が⽣じ、短絡すると逆⽅向にIscの電流が⼊射光量に⽐例して流れます。(図4)は照度をパラメータにIscとの直線性を⽰したものです。Iscは103Lux〜104Lux位の範囲において⾮常に優れた直線性を有しています。

2. 分光感度

図5.分光感度特性
受光素⼦と組み合わせる光源は太陽光、蛍光灯、タングステン電球、LED、レーザー光など、各々独⾃の発光波⻑を有しています。しかし、コーデンシの受光素⼦はシリコン基板としており、素⼦(チップ)⾃体としては、可視光領域から近⾚外に⾄るまで広い分光感度をもっているため、ほとんどの光源との組み合わせが可能です。また使⽤⽬的によって光学的フィルターつきのデバイスもあり、可視光領域のみに感度を有する受光素⼦や⾚外光のみに感度を有する受光素⼦もあります。(図5)

3. 応答特性

応答速度は外部負荷抵抗RLと内部直列抵抗RS、P層N層の接合容量Cjの時定数でほぼ決まります。
tr∝Cj×(RL+RS)≒Cj×RL(RL≫RS)応答速度の改善のためには、⼀般に(1)逆バイアスを印加してCjを⼩さくする(2)受光⾯積を⼩さくする(3)負荷抵抗を⼩さくする等が考えられます。しかし必ず他の特性との関係があることに注意する必要があります。またPINシリコンフォトダイオードは⾼速光検出に⼤変有効です。

4. 暗電流

受光素子に光を照射しない時に流れる電流を暗電流(Id)といいます。受光素子としてはIdの小さいことが望まれます。これは低照度領域の検出限界となるためです。一方、暗電流は逆バイアスと周囲温度の上昇に比例して増加するという傾向があります。従って低照度におけるリニアリティが必要な場合には、極力逆バイアスの印加を避けるべきです。

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形状

図6.実装形状
フォトダイオードは、そのパッケージの⽅法により特性が⼤きく変わってきます。そのため⽤途にあったフォトダイオードを選ぶ必要があります。
図6(a)のフォトダイオードは樹脂成形品で、薄型、⽴形状のフォトダイオードです。受光⾯がフラットで、しかも受光⾯が⼤きくなっていますので、発光側との光軸合わせが容易です。図6(b)のフォトダイオードは透明樹脂成形品で、薄型、⼩型であり、⼩型機器や精密機器に最適です。図6(c)のタイプは、ステムにマウントしたもので、薄型ですのでフレキシブルP.C.Bへの実装や⾼さをおさえた回路に有効です。いずれのタイプにしても、フォトダイオードの光信号に対する直線性を利⽤しており、出⼒、指向性などに対して様々な特⻑をもったフォトダイオードがあります。
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