//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


注目の製品

コーデンシではシリコンMEMS技術を用いて非接触で温度を検知することができる
サーモパイル温度センサを開発しています。

サーモパイル温度センサの概要

1.サーモパイル(熱電堆)とは?

導体に温度差を設けると、冷温部と高温部との間に起電力が生じます。これをゼーベック効果といいます。この起電力の大きさは導体の種類により異なります。そのため2つの異なる導体をつなげ、その接点部に温度を印加するとそれぞれの他端の間には、その温度に対応した電圧差が生じます。この電圧差を温度に変換して読み取るものが、いわゆるサーモカップル(熱電対)による温度測定となります。このサーモカップルを直列に複数接続し僅かな温度差による微弱な出力電圧を複数加算して大きな電圧として測定できるようにしたものをサーモパイル(熱電堆)と呼びます。

2.サーモパイル温度センサの構造

人体や物体などの発熱体からは赤外線が発生しています。この赤外線を物体が吸収すると温度上昇が生じます。しかし、一様に赤外線が吸収されてしまいますと温度差により生じる電圧差を測定することができません。そこで、図2のようにMEMS技術を用いて、赤外線を受光する受光部が支えによって空中に浮かぶような構造を作製し、レンズを用いて赤外線がこの部分だけに照射されるようにします。このようにすると、受光部のみで吸収が生じ温度上昇することになります。また受光部外への熱の移動を小さくすることができるので、受光部と他部との間に温度差を得ることができます。したがって、形成された受光部にサーモカップルの温接点を複数設置しますと、赤外線吸収により生じた微弱な温度差を電圧差として測定することができます。

3.サーモパイル温度センサ:温度測定の原理

あらゆる物体からは、絶対零度でなければ赤外線が放出されています。説明のためプランクの法則により示される図3のような、黒体放射スペクトルを用いさせていただきます。この図に示されるように任意の温度を持つ黒体からは、固有の赤外線スペクトルが放出されています。スペクトルの積分値は単位面積当たりのエネルギー(エネルギー密度)に相当します。いま、この放出された赤外線をサーモパイルの受光部で吸収すると、受光部での温度変化が生じます。この温度変化量に受光部分の熱容量を掛け合わせると、受光部が吸収した熱量を求めることができ、さらに面積で割るとエネルギー密度を求めることができます。この原理により、熱源の温度をサーモパイルを用いて測定することができます。実際には黒体ではない物体からの熱放射スペクトルとの差異、用いた光学系の透過スペクトル、受光部の吸収スペクトル、などの寄与を換算に入れるますが、基本原理は上記となります。

4.サーモパイルセンサの用途

一般的にサーモパイルの用途としては非接触体温計や電子レンジ、ドライヤーなどの家電製品やプリンタの定着ドラムの温度検知などに多く用いられています。
コーデンシではそういった一般的な温度検知用の単画素のセンサに加えてサーモパイルセンサを2次元に並べた①アレイセンサや②受光部の吸収波長帯域に特徴を持たせたセンサのラインナップを開発しています。

①アレイセンサ
アレイセンサは複数のサーモパイル素子が集積された多画素構造となっております。そのため、対象物の温度変化のみならず、温度による形状(分布)や動きを2次元で検知することができます。この特性により、人数カウントや、カメラが使用できないプライバシー性を有する場面での見守りなどの行動検知に応用されています。

②受光部の吸収波長帯域に特徴を持たせたセンサ
二酸化炭素や、二酸化窒素、二酸化硫黄、等の気体分子は、それぞれ赤外線領域に固有の吸収帯域を有しています。これらの吸収帯域を検知波長として構成することにより、気体の種類を特定することができます。
また、吸収帯域の異なるサーモパイル素子を複数集積しアレイセンサとすることにより、一つのセンサで複数の気体の種類を特定することも可能となります。(詳しくは、後述の多波長吸収型サーモパイルセンサをご参照ください)

このように、サーモパイルセンサは温度測定のみならず行動検知や、検知対象物の特定など、様々な用途で用いられています。

サーモパイル:開発製品、ラインナップ製品

1.フラットタイプサーモパイルセンサ

レンズレス構造で低価格可能、フラットタイプなので取り付け容易

コ―デンシではMEMS技術を用いて非接触で温度を検知することができるサーモパイル型温度センサを開発しておりますが、この度、独自開発の光学系「リフレクタ構造」により、対象物からの放射光を、赤外線を透過させる材料を用いた高価なレンズを用いることなく、検出部へ集光可能とした業界初の高精度サーモパイル型非接触温度検知センサを開発しました。

■開発の背景
従来型では入射光を受光素子へ集光するためにSiレンズを用いています。このレンズ作製では切削、研磨等の多大なエネルギー及び材料ロスを生じます。しかし、本開発では他にない独自のリフレクタ構造を採用することにより、レンズレスで受光素子に入射光の集光を可能としております。そのため、省エネルギー化、低材料ロスを達成しており、尚且つ低価格化を可能としました。
本開発品はサーミスタに比べ応答速度が速く、温度精度が優れています。そのため、従来このサーミスタが使われている分野で高性能化を実現することにおいて、新しい市場を開く可能性があります。また、既存のサーモパイル型温度センサの置き換えに加えて、あらゆる場面で行われている非接触での体温測定のための、体温計用途としても適用でき、高精度、低価格で尚且つ低環境負荷なソリューションとして提案いたします。

2.サーモパイルセンサ単画素 TPS01504

サーモパイルセンサは物体が発する赤外線を検知することにより、非接触での温度検知を可能としております。新型のサーモパイルではカスタムICを搭載し、サーモパイル特有の個体差ばらつきを無くすことに成功致しました。よってこれまでより使いやすいセンサに生まれ変わることができました。接触式の温度センサでは温度センサ自体に熱容量があるため、応答速度は遅くなります。サーモパイルセンサでは非接触式で熱容量がかなり小さいため、応答速度は速くなります。

■製品概要
・物体から出る赤外線を検知するセンサ
・環境温度センサ内蔵
・カスタムICによる、ばらつき・環境温度補正
■用途
・OA機器、家電製品

3.人体検知用サーモパイルセンサ

人体検知サーモパイルセンサ/MTPW01503L

サーモパイル温度センサ(非接触温度センサ)は人体などから発生する赤外線を検知し、これを信号として発するセンサです。用途の一つとして、手のひらから発する赤外線を検知することにより、非接触操作を行うことができます。オフィスでは、受付での「チーン」と鳴らすベル、エアコン、空気清浄機等のスイッチ、飲食店での呼び出しボタン、といった、あらゆる「スイッチを押す動作」を非接触で実現します。
動画では、このセンサを用いた非接触操作(ON/OFF)のデモンストレーションをお見せいたします。
●製品概要
・人体から出ている赤外線を検知するセンサ
・環境温度センサ内蔵
・静止状態の人体検知が可能
●用途
・人体検知、非接触温度スイッチ

4.サーモパイルアレイセンサモジュール

MTPA3232501

このセンサのチップには、複数のサーモパイルが集積されています。
そのため、対象物の温度の分布や発熱体の形状を2次元で検知することができます。
人体検知、人数計測、人体追尾など、監視やセキュリティー
電子レンジや、エアコンなど家電製品の温度分布管理に応用できます。
環境温度センサ及び温度換算用CPUを内蔵しているため、温度の値で出力する機能
を搭載しています。

・インターフェース:I2C出力:I2C output
・非接触タイプの温度分布測定 → 表示分解能 0.1℃
・環境温度センサ、CPU内蔵
・温度キャリブレーション機能内蔵

5.多波長吸収型サーモパイルセンサ

TPTシリーズ

多波長吸収型サーモパイルセンサの製品の特性とそのアプリケーション
についてご紹介いたします。

二酸化炭素や、二酸化窒素、二酸化硫黄、等の気体分子は、それぞれ赤外線領域に固有の吸収帯域を有しています。これらの波長帯域のみを透過する透過窓をセンサーに装荷することにより、気体を検知することができます。このセンサでは赤外線を吸収する吸収構造体において、多層膜波長フィルターを採用しています。そのため、フィルター膜の膜厚調整により波長選択が可能な構造となっております。
また、同一チップ内に吸収波長の異なる画素をアレイ状配置可能です。そのため、一つのセンサチップで複数の吸収波長を検知できるため、ガスの種類の分類が可能です。
詳しい原理に関しては動画にまとめさせていただいておりますので、ご覧くださいませ。

  • コーデンシDH株式会社
  • コーデンシTK株式会社
  • コーデンシTK オプトエレショップ

お問い合わせ